人気ブログランキング | 話題のタグを見る

んちゃって英語ガイド

endoms.exblog.jp
ブログトップ

いいじゃないの日本の神様

『勝っても負けても』 池田晶子著

池田晶子さんの本を続けて読んでいる。
これはそれで  結局実体のあるものはないのではないか 
という深い存在に対する懐疑が
出発点となった彼女の文章は
時に刃のように突き刺さり、
時に彼女が笑いながら書いてきるのが透けてくる。

そのなかでも、昨日読んだのは週刊誌に掲載のエッセーを集めた
短く軽いエッセー集。

122ページ辺りの日本の神様と日本人、その節操と無節操についての部分が面白い。
今日北海道神宮に行ったばかりだからかも。
クリスマスから大晦日、新年にかけての短い期間に
日本人は3つの宗教行事を行うという。

そのうち、大晦日には人間の煩悩を払うために除夜の鐘がつかれる
でも、神道では大晦日の大祓えで
神様が、1年間の罪や穢れをはらってくれる。
少々悪い事をしても神様がそれを祓ってくださる。

このような心持は煩悩形成以前ではないかという。
日本人の心底には、神道的無節操があり、
煩悩から解脱することが悟りという発想もない。

新年には、その年の新しい神様、歳神様がやってきて、その年をつかさどる。
その年のことはその年のこと、過ぎたことは終わったことだ。
これも無節操。

ここで、彼女はきっと自分の言葉に笑っているに違いない。

次にはこう続く
しかし、善悪の観念がない無節操もひとつの節操ではないか?
善悪の観念にとらわれず、自在である。
なぜなら 唯一神の国では、善悪、正邪にとらわれ、
正義の戦争を始めることにつながる。
自分達が作り出した神というものに縛られてしまっている。

笑いながら、いやー あれもあればこれもアリね
ぐらいのノリで書いているのでは
結局、人間が考え出した宗教に人間が縛られるのがおかしいんだから
縛りのゆるい なんでも神様 って大切にするぐらいの宗教がいいんじゃない
っていってる。
by endoms | 2008-07-30 22:44 | ブックレビュー