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んちゃって英語ガイド

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5千円の転職

大阪の息子から土曜の朝10時に電話。

昨日2回も携帯に電話したのに。何してたの!

あっ ごめん 気がつかなかった。
で、どうした?

昨日、友達と札幌に来た これから家に行く。

ごめん仕事中。

と言って電話を切ったが、
結局
午後、友人と息子を豊平峡温泉に連れて行く。

これがあのS君だよ。

あー あの5千円の!

S君は 我が家では有名人だった。



S君は
早大付属高校ではダイビングに明け暮れ、
政経学部になんとなく入って
またダイビン漬けで、
沖縄で学生生活の大半を過ごす。

就職時期になると
内定を受けたIT企業も通信もけって
大手サラ金に就職。

ちゃんとした金融機関だろう。
小さき個人の味方だし。
本音を言うと、
給料もいいしさ。

入社して、研修が終わった。
柔道2段で、声も大きく快活な彼は
取り立てに回された。

ある時 都営住宅にすむ70代の女性の取立てを担当。
5千円が返済できないのだった。

回収には手段を選ぶなと上司の檄が飛ぶ。

小柄なそのおばあさんにあった彼は、
できれば
自分のポケットマネーを出したいぐらいだった。

たった5千円だ。

とりあぐねる彼に、上司が命じたのは

近所の家をおばあさんと一緒に回って、
100円でも500円でも もらうか貸してもらって返済させろ!
と言うものだった。
彼はそれをやり終えた。

たまらなかったのは
会社のやり方と
おばあさんに恥の意識がなかったこと。

仕事が空虚に思え
会社をずる休みし
会社からの電話に居留守を使った。

1年もたたずに退職した。


あの 5千円のS君!


そのサラ金会社はその後苛酷な取立てが問題化した。

S君は、今は従業員6人のIT企業社長。

土日もなくだいたい毎日働いているけど、
今は好きな事をしているので
仕事って気がしないですね。という。

非人間的な事をしなければならない会社を
辞めて本当に良かったね。
by endoms | 2008-04-12 22:10 | 家族の時間