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んちゃって英語ガイド

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旅の記録(3) ロスリン礼拝堂


ある水曜日の午後

すごい雨で、思いっきり寒い。
でも、どうしてもロスリン礼拝堂へ行こう。
ゴアテックスの上着の出番かも!

授業が終わってすぐにバス停へ向う。
傘が役に立たないくらいの横風が吹いている。
でも、上を見上げると片隅にちゃんと青空が用意されている。
エジンバラはいつもこんな感じの天気だ。
ひょっとするとじきに雨も上がるかもしれない。

ロイヤルマイルをサウスブリッジで右に曲がってウエイバリー駅を過ぎて左に曲がる
すぐにスコット記念碑がある。
そこのバス停で
ロジアンバス15Aを待つ。
バスは1時間に1本の間隔で次のバスにあと10分。
サンドイッチはバスの中で食べよう。
バス停の表示を見るとバスが遅れているとの表示。
まだ雨はやまない。
バス停にはお年寄りの人たちがたくさん並んでいる
買い物を終えたのか大きな袋を持っている。
ウールの長いコートを着ている人が多い。
ピンクのブレザーや
トレンチコートの人も
紺のブレザーの人に聞いてみる
ロスリンに行くんだけど、バス賃はいくらでしょう?

老人パスがあるから私達はタダよ。
運賃がいくらかは誰も知らない。

ロスリンは私も行ったけど、驚くようなところよ。。
えー 私は行ってないわ。
グリーンマンを見てらっしゃい。異教的よ。
etc。。。
近くの人たちが一斉に教えてくれ。

おしゃべりが盛り上がったところでバス。
彼らのバスは路線が違う。
横風を傘で上手く交わしながら手を振ってくれる。

雨がやまないな~。
バスには観光案内書を手にした人がたくさん乗っている。
ああ、きっとみんな行き先は同じだ。
ついていきゃあいい。
リンゴをかじりながら車窓の景色を眺める。

バスはエジンバラ市内を南に進む。
プリンスイズ通りを折れ
ドラッグストアー
郵便局
スーパーマーケット
ピザや
レストラン
パブ
不動産屋

変わらぬ市街が続く
しばらく進むと郊外の住宅街の低い家並みに代わる。
大きな交差点を超えると
住宅街が突然切れる低い丘が連なる
丘は緑の肌で原型をさらす。
40分ほどでロスリン村につく。村を過ぎるとロスリン礼拝堂のバス停。
乗客はバスから降り辺りを見回す。
雨が上がって、青空が一部にのぞく。



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バス停から5分ほど歩くと、
修復中のロスリン礼拝堂が見えてくる。
受付の建物にはいると
詳しく修復の状況が説明展示されている。
建設に450年もかかっているんだから修復も丁寧に時間をかけて・


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教会の入り口の端によくある像だけど
 これはどう見ても神社の狛犬!
口をあけているけど「あ」なのかな?
まさか!・・・なはずはないけど、小発見がうれしい。

北欧の民間伝承のあとがたくさんあるこの礼拝堂には、
人類共通の神話世界と伝承があるのだろう。


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このお墓には4代目の当主が眠るという。
礼拝堂やその地下には多くの遺骨がある。


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ここを作ったシンクレアー家の家族のお墓は、
エジンバラのホーリルード宮殿の隣に立つアビーにもある。
何故そこに?
ダ・ビンチコードの謎解きに、多くの人がそのアビーを訪れた。
ホーリルードアビーは他にも面白いなぞがたくさんあった・・・

この礼拝堂はダビンチコードの映画でホーリーグレイルの眠る場所と設定された。
それで有名になったけれど
その以前からもフリーメーソンや秘儀に興味のある人の間では有名だった。

伝説によると地下の埋葬室から深く続く地下室があってテンプル騎士団があがめる聖杯とスコットランドの王石が残っているという。

ガイドの人が礼拝堂の内部を説明してくれる。
早口で声が小さい。
しまった!もっと前に座るんだった。
教会の後ろの席には声が届かない。

でも、スポットに光を当ててる
教会の内部のどこも
空白の装飾のない場所はない。
全身刺青の人体のような
夢のような悪夢のような
神話世界にいる気分になる。
このような彫刻の教会は見たことがない。
聖書、メーソン、ペーガン、テンプル騎士団のテーマの模様らしい。
ソロモンの宮殿に倣って作りだといわれる。


この礼拝堂の歴史は古い。

1446年にスコットランドのフリーメーソンの正統な後継者の
William Sinclair 3rd Earl of Orkney, Baron of Roslin and 1st Earl of Caithness
が大規模な教会を作ろうとして建築を始めた。
彼はここに葬られている


グリーンマン  北欧神話に登場する神。
そうだ。シンクレア家は北欧から来たのだ。
グリーンマンはキリスト教以前に起源する豊穣と再生のシンボルで、
四季を表すそれぞれの表情がある。若者のグリーンマンは春を、豊かに実った作物を持つグリーンマンは秋を表す。
この礼拝堂の中には110ものグリーンマンが存在するという。
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一番目立つのは師弟の柱。

ローマの柱をモデルに礼拝堂に柱を作ることになって、親方はローマに実物を見に行った。
その不在の間に天啓を受けた弟子が、見事な柱を完成させてしまった。
ローマから戻った親方はその柱の出来の素晴らしさに驚く。
嫉妬に駆られて、彼は弟子をその場で切り殺してしまう。

手前の螺旋模様が弟子の柱
奥のさっぱりしたのが親方の柱だという。
確かに親方の柱は簡略な模様で弟子の柱は複雑な模様が力強い。
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バグパイプを持つ天使。地域色が出てる。
バグパイプは戦争の時に勇気や闘志を高め、戦闘体制を整えるための音楽だった。
スコットランドにいる間はどこへ行ってもバグパイプの演奏を聴いた。
戦争の音楽だったんだ。
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柱や天井の仕切りからは213個の角形突起が突き出している。
それぞれ違う模様がえがかれ、音符ではないかと、
音階を解釈して演奏された

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伝説では建設者の祖先の
Henry Sinclair I, Earl of Orkneyが1397年に
オークニー島を12艘の船で出発して、大西洋を渡り現在のカナダ、ノバスコーシャに到着した。
中の2船はそのまま南下して、マサチューセッツに到着した。
そして1年後に12船は無事に戻ってきた。
伝説の根拠も、伝説を示すものとも言われるのが柱の模様のトウモロコシ。
トウモロコシはまだヨーロッパでは知られていなかった、
作られたのは1492年のコロンバスによる新大陸発見の以前だ。

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ルシファー 堕天使は逆さにつるされている。
この逆さにつるされるという処刑方はサイコパス映画でもおなじみだよね。
レッドドラゴンでもこの処刑法が登場したね。
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やっぱり異教的な要素の多い不思議な教会
石を細工することへのこだわりも
シメトリー感覚に欠けるところも西欧の教会の伝統からはずれている。
教会建築・装飾やキリスト教に関する基本的知識が足りない私には
その衝撃が感じ切れないかもしれない。

(一部の写真はロスリン礼拝堂のホームページから)
by endoms | 2010-08-28 01:18